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小出記念日本語教育学会 ワークショップ5回連続企画【2023年度】


2023年度(2023年4月1日から2024年3月末日まで)に,小出記念日本語教育学会でワークショップを5回(各回2時間程度)開催します。会員は,すべてのワークショップの参加費が無料です。後日,それぞれのワークショップについて,会員のメーリングリストから参加に必要な情報をお送りします。

一般・学生ともに年会費は4,000円です。指定された期日までに入会していただければ,「会員」扱いとなり,5回とも無料でワークショップに参加していただけます。また,200ページ余りの学会誌の印刷版も配布されます。

この機会に非会員の方々に入会していただくようお誘いいただければ幸いです。

【第12回ワークショップ】

 時 期 :2023年8月24日(木)20時から22時までの2時間

タイトル:漢字学習と語彙学習のつながりを考える——二字漢語の意味の透明性に着目して——

講 師 :本多由美子(国立国語研究所・特任助教)

要旨:「漢字を学ぶこと」は「語を学ぶこと」だと言われます。日本語では,平仮名・片仮名・漢字の3種類の文字が用いられますが,その中で漢字は主に実質語を表すのに使われます。漢字の理解は語の理解につながり,さらに日本語の文章を理解する際の支えになります。しかし,漢字2字が組み合わさった二字漢語を見ると,2つの漢字の意味を組み合わせれば語の意味を導くのが容易なものと,難しいものがあります。これは,二字漢語の意味の透明性(semantic transparency)に関する問題です。本ワークショップでは,書き言葉における高頻度の二字漢語について,「辞書による透明性の調査」と非漢字圏学習者を含めた「人の判断による透明性の調査」の2つのアプローチによる調査結果を紹介します。調査結果を通して,漢字の意味と語の意味とがどのように結びついているか,また,非漢字圏学習者が意味の結びつきをどのように判断しているかを見ていきます。そして,これらの調査結果をもとに,漢字学習を語彙学習にどのようにつなげられるかをみなさんと考えてみたいと思います。

※新規に入会し、会員として参加されたい方へは、日本時間で2023年8月21日(月)23:59までに入会手続き(フォームからの申請と年会費納付の両方)をお済ませください。

【第13回ワークショップ】

時 期 :2023年9月22日(金)20時から22時までの2時間

タイトル:初級者のための統計入門——Excelで相関係数と単回帰分析——

講 師 :斉藤信浩(創価大学・教授)

要旨:統計の初習者のために,Excelでできる相関係数と単回帰分析を講義します。相関係数と回帰分析の基本的な考え方の説明から入って,Excelで相関係数と単回帰分析のやり方を練習していきます。重回帰分析については実習はしませんが,話として言及する予定です。

※新規に入会し、会員として参加されたい方へは、日本時間で2023年9月15日(金)23:59までに入会手続き(フォームからの申請と年会費納付の両方)をお済ませください。

【第14回ワークショップ】

時 期 :2023年10月23日(月)20時から22時までの2時間

タイトル:TEA(Trajectory Equifinality Approach, 複線径路等至性アプローチ)

講 師 :上川多恵子(立命館大学・院)

要旨:複線径路等至性アプローチ(TEA)はヴァルシナー(Jaan Valsiner)の記号論的文化心理学に依拠した質的研究法であり,発達心理学,臨床心理学をはじめ保育,看護,キャリア,言語教育など多分野の研究領域において用いられています。

TEAは歴史的構造化ご招待(HSI),複線径路等至性モデリング(TEM),発生の三層モデル(TLMG)の三つの方法論から構成されています.

中でもTEMは人間の経験を扱い,人間の時間経過とともにある文化化の過程,人生径路のモデルを図(TEM図)に描いていく研究手法です。

本ワークショップでは,具体的な事例をもとにTEMの基本概念および図の描き方について学び,日本語教育分野でのTEAを用いた研究の可能性について皆様と共に考えていきたいと思います。

※新規に入会し、会員として参加されたい方へは、日本時間で2023年10月14日(金)23:59までに入会手続き(フォームからの申請と年会費納付の両方)をお済ませください。

【第15回ワークショップ】

時 期 :2023年12月2日(土)20時から22時までの2時間

タイトル:日本語教育プログラムの在り様(ありよう)——「言語教育プログラム可視化テンプレート」を用いて可視化してみよう——

講 師 :札野寛子(国際高等専門学校・教授;前金沢工業大学・教授)

要旨:日本語教育に関する法制化が進み,新たな日本語教育機関認定制度が導入されようとしている今,日本語教育機関/組織/プログラム(以下 プログラム)の在り方の再検討が必要となってきています。

個人教授のような事例を除くと,多くの日本語教師はどこかのプログラムに所属し活動しています。その一員として参加者のみなさんご自身では,所属プログラムの全体像についてどれほど理解されていますか。たとえば,それはどのような社会的ニーズに応えるために設立されましたか。日々の活動はどのような方針のもとで運営されていますか。想定された成果を挙げることはできていますか。

今回のワークショップでは,筆者が所属する言語教育プログラム研究会で開発している「言語教育プログラム可視化テンプレート」を簡易的に用いて,みなさんのご所属プログラムの在り様を大まかに見える化してみましょう。それにより,一教師でも常にプログラムの在り様や日本語教育界を取り巻く現状を俯瞰する眼を持ち,その中での自身の役割を認識して日々の活動に取り組めるようになることを目指しましょう。

※新規に入会し、会員として参加されたい方へは、日本時間で2023年11月24日(金)23:59までに入会手続き(フォームからの申請と年会費納付の両方)をお済ませください。

【第16回ワークショップ】

時 期 :2024年2月24日(土)13時から15時までの2時間

タイトル:生成AI時代の日本語教育と著作権を考える

講 師 :我妻潤子(知的財産アナリスト・東京藝術大学)・宇治橋祐之(NHK放送文化研究所)

発題者・司会: 高橋薫(創価大学)

ディスカッサント: 保坂敏子(日本大学)

内容:教育に生成AIを導入する上で懸念されることの一つは著作権の問題です。生成AIが作成した作品は著作物にあたるのか,著作者は誰になるのか,生成AIを利用して教材を作成したり,授業の過程で導入する場合に何に配慮する必要があるのか。本ワークショップでは,著作権の権利処理の専門家,放送番組の専門家を招いて日本語教育における生成AI利用と著作権の問題について考えます。

【事前課題】 ①著作権に関するビデオの視聴,および,記事の閲覧(著作権に関する基礎知識を学ぶため)、 ②事前アンケート

【事後課題】 事後アンケート

申し込み開始:2024年1月10日(水) 会員メーリングリストに案内を流します。

※新規に入会し、会員として参加されたい方へは、日本時間で2024年2月3日(土)23:59までに入会手続き(フォームからの申請と年会費納付の両方)をお済ませください。

本ワークショップは,科研プロジェクト(22K00651)の一環として行います。参加費は無料ですが,事前事後のアンケートをお願いし,ワークショップのデザインや研究に使用します。ご承諾いただける方のみご参加ください。