意味分野から捉えるNEWS WEB EASYと 朝日小学生新聞の語彙 −使用率と使用頻度に着目して−
要旨
「やさしい日本語」による初級でのニュース導入を目指し、NEWS WEB EASY(NWE)と朝日小学生新聞(朝小)を素材に対象者や媒体が異なるニュース語彙を意味分野の観点で比較する。対象記事は2016 年6 月? 2017 年3 月のNWE 962 本、朝小552 本で、分類には『角川類語新辞典』を用いる。NWEと朝小は意味分野ごとの使用率が類似し、10 の大分類中、[性状]が約25%、[変動][行動][社会][学芸]が約10%を占めている。NWEは難度が低い[行動][変動]動詞の使用率が高く、朝小はサ変動詞になり得る漢語名詞にも使用率の高い語がある。基本動詞は難度が低いが多義性があり、辞書を使えば、多義語動詞よりも漢語名詞のほうが意味の特定は容易である。朝小は記事が短く、NWEに見られる記事の筋から逸れた「嬉しい」などの[性向]のイ形容詞が高頻度語にない。記事の短さはやさしさにつながるが、発話引用の[性向]イ形容詞のように、記事を長くしても、状況理解の助けになる語もある。