2016 No.24
就労外国人の記述に対して人事担当者が用いる評価基準 -工場労働者の履歴書の志望動機欄の記述に焦点を当てて-
千葉月香
要旨
本稿では就労外国人が書いた履歴書の志望動機欄の記述を人事担当経験者がどのよ うに評価しているのか、その評価基準を探索的に明らかにすることを目指し、調査を 行った。分析の結果、【書き手】という評価基準が抽出された。これは書き手が仕事に 活かせる経験・資格を持っているか、魅力的な人物かを評価している基準である。更 に製造業の外国人従業員の人事担当経験がある評価者 3 名を取り上げ、評価基準の傾 向、半構造化インタビューの回答からその評価ビリーフを検討した。その結果 3 名全 員に共通して、文章を評価するのではなく、文章から書き手がどのような人物なのか 想像して評価しようとしていたことが明らかになった。このことから、より印象のよ い志望動機欄を書くためには正確で適切な文章ではなく、これまでの経験や書き手の 人柄をアピールする等、書き手の人物像が具体的にイメージできるような文章に指導 することが効果的であると考えられる。
就労外国人の記述に対して人事担当者が用いる評価基準 -工場労働者の履歴書の志望動機欄の記述に焦点を当てて- - 千葉月香