2014 No.22
ピア・レスポンス後の推敲種類 -個人差に着目して-
跡部千絵美
要旨
本稿はピア・レスポンス前後の作文に見られる推敲種類ごとの推敲数及び割合とそれに影響する要因を調査したものである。主なデータは初級日本語学習者である15名の台湾人大学生が通年の必修作文授業で書いた292作文である。分析の枠組みにはFaigley & Witte(1981)の推敲分類法を用いた。
結果、推敲数に縦断的変化は見られなかった。また先行研究とは異なり〈マクロレベルの変更〉の割合が回によって大きく異なっていた。推敲数には大きな個人差があり、日本語レベルとは関係が薄く、作文或いは作文授業への意欲と大きく関わっていると考えられるものであった。さらに毎回の推敲数に違いがあるかについても個人差が大きかった。推敲数に影響していたものとしてPRコメントがあるが、初稿の出来、推敲への意欲も関わっている。
ピア・レスポンス後の推敲種類 -個人差に着目して- - 跡部千絵美
Analyzing Revision Types after Peer Response: Focusing on Individual Differences - ATOBE, Chiemi