2011 No.19
聞き手としての行動の母語転移の可能性 ―物語伝達時の相づちとうなずきの使用の分析―

半沢千絵美


要旨

 本稿では聞き手としての言語的・非言語的行動である相づちとうなずきに焦点をあて、学習者が母語(L1)と外国語(L2)で聞き手となる際に、 相づちとうなずきをどのぐらいの頻度で、また、どこで使用しているのか を調査した。これまでの研究では、自由会話のデータをもとに相づちの使 用が分析されている場合が多かったが、自由会話では発話順番の交代 (turn-taking)が起こるたびに話し手と聞き手の役割も交代するため、聞 き手の行動のみを比較しにくい。本稿では、英語(L1)と日本語(L2)の 物語伝達というディスコースを設定し、4人の中上級日本語学習者に英語と 日本語で物語を聞いてもらい、picture-ordering タスクを実施した。相づ ちとうなずきの頻度と出現位置を分析したところ、全ての学習者にL1とL2 で共通する傾向がみられた。また、日本語の相づちの頻度が母語話者より も高かった学習者に関しても、出現位置はL1の傾向を保持しており、母語 転移の可能性が示唆された。

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聞き手としての行動の母語転移の可能性 ―物語伝達時の相づちとうなずきの使用の分析― - 半沢千絵美

Pragmatic Transfer in Listening -Analyzing JFL Learners’ Backchannels and Head Nods During Narrative Story Telling - HANZAWA Chiemi