2007 No.15
マルチレベルの口頭表現クラスにおけるリソースの役割 ─日本人協力者に着目して─
鈴木理子
要旨
音声・会話・スピーチ指導を行った口頭表現クラスに継続的に参加した日本人協力者について、その役割を検討した。クラス活動の観察から「教授者」「ファシリテーター」「情報提供者」「モデル」「母語話者」「共同学習者」としての役割が確認できた。学習者アンケートからは、話し方に関する知識の獲得、自身の発話の問題点の認識、運用練習、不安・緊張の低減における有効性と、ネットワーク形成への寄与が明らかとなった。日本人協力者へのアンケートによって、日本人協力者は教師の期待以上に負担を感じていたこと、学習者の期待ともずれがあったことがわかった。また、日本人協力者を参加させる際の配慮すべき点をまとめた。