2002 No.10
専門教員と学習者へのニーズ調査に基づいた書き方指導 ─論文執筆の準備段階としての指導─
丸山千歌・小澤伊久美
要旨
日本語教育ではレポート・論文執筆を目指した書き方指導についての研究はまだ少なく、特に、専門教員が学習者の書く論文をどのような観点から評価するのかという点をふまえた上での学習項目の提案・カリキュラム開発・評価法などを具体的に論じた研究が待たれる。
本稿は国際基督教大学(ICU)での専門教員や帰国生に対するニーズ調査、それらをふまえた実践活動を基に、論文執筆の準備段階としての書き方指導の在り方を考察したものである。この指導法の特長は、学部専門教員が学習者の書く論文をどのような観点から評価するのかという点を踏まえた学習項目を、スパイラルに組んで有機的繋がりを持って演習すること、読解教育と積極的に連携すること、個々の項目の目的・重要性・留点を認知するプロセスを大事にし宿題へのフィードバックや評価を重要視することにある。