1995 No.04
他領域との相関から見た会話試験 ─集中6か月コースの総括的評価としての試験作成過程から─
庄司惠雄
評価は、教育課程において避けて通れない活動である。斯界には教授法、学習理論、教材などの研究に比べるとあまり研究されていない分野がいくつかあるが、評価はその一つと言え、口頭能力の測定・評価に関する先行研究は特に少ない。
本発表では、ある日本語集中コースのために開発、改良した総括的評価としての口頭能力試験を紹介し、その実施結果について、他領域の試験結果との相関を見るという角度から分析した。分析の結果、本試験は、聴解試験との間に問い相関を示したが、文法、文字、読解、作文の4分野の試験結果とは顕著な相関を示さなかった。このことは、口頭能力が聴解能力と深い関係を持つのに比べて、聴解以外の能力の習得とは関係が薄い可能性を示唆しているものと考えられる。