2025 No.33
オノマトペの種類と文脈量が意味推測に与える影響─ 中国語を母語とする日本語学習者の聴解テストの分析を通じて ─

柏晨悦


要旨

本研究は、音象徴を備えたオノマトペの意味推測の難易度が、オノマトペの種類(擬音語・擬態語)と文脈量(多い条件・少ない条件)によって異なるかについて調査したものである。日本国内の中国人日本語学習者 81 名を対象に、四肢択一式の聴解意味推測テストを実施して分析したところ、次の 2 点が明らかとなった。1)擬音語は擬態語より推測が難しい。この理由として擬音語の推測時には日本語の音象徴の使用が回避されやすいことや、母語の負の転移が影響した可能性が考えられる。2)文脈量の影響はオノマトペの種類によって異なる。擬音語では影響は認められなかったが、擬態語では文脈量が多い条件で推測がより容易になり、影響が認められた。これにより、擬音語では学習者の日本語の音象徴知識が不可欠であると指摘できる。擬態語では豊富な文脈量の提示が重要であると言える。本研究はオノマトペの意味推測の成功を促す支援を探る上で意義がある。

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オノマトペの種類と文脈量が意味推測に与える影響 ─ 中国語を母語とする日本語学習者の聴解テストの分析を通じて ─ - 柏晨悦

Effects of Onomatopoeia Type and Context Quantity on Lexical Inference of Japanese Onomatopoeia: A Study of Chinese Learners’ Listening Test - BAI, Chenyue