1993 No.01
教育現場から聞こえてくるこれからの教授法 ─教授法分科会序文─
堀歌子
1.はじめに
日本語教育の現場を取り巻く諸問題の中でも教授法の問題は常に大きな位世を占め、時代と共に揺れ勅いて来た。特に日本語教育の基盤となっている外国語教授理論のさまざまな変遷は各時代の現場に携わっている教師に大きな影響を与え続け今日に至っている。なかでも1950年代に登場し、世界的な指示を得ていたオーディオ・リンガル・アプローチ(Audio-Lingual Approach)が1960年代後半から70年代に強い批判を受けてその地位を失って以来外国語教授理論は一般に混迷の時代を迎えたとも言われた。その間オーディオ・リンガル・アプローチに取って代わる教授法が求められ、次々と新しい外国語教授法が提唱された。