1995 No.04
日本事情教育における「対話的協働」の可能性
砂川裕一
「日本事情とその教育」が即自的に試行しつつある知的・教育的活動形態には、近代知批判の視座から見て留意すべき幾つかの視点が存在する(1)この報告では、その即自的形態に萌芽的に孕まれている傾向的特質の一つを「対話的協働性」として、以下の三つの側面一すなわち、(1)“対話的交渉=交渉的対話”という学習者と教員との固定的役割関係の変質可能性という側面、(2)“脱領域的共演的対話,,という個別的専門諸領域間の相互批判的相互理解の可能性という側面、(3)“専門的逸脱=領域的侵犯’,という日本事情教育担当者個々人の視野の拡大要請という側面一から指摘し、「日本事情とその教育」が含み持っている可能性の一端について言及することで、日本事情論的展開のための手掛かりの一つを共有する縁としたいと思う。