1996 No.05
所有傾斜 日本語の敬語などに見られる所有の表現

角田太作


ご紹介いただきました角田と申します。小出先生にはじめてお会いしたのは、1971年、今から25年前になります。私は当時オーストラリアのメルボルンのモナシユ大学におりまして、オーストラリア原住民語を勉強しようという、本当は勉強しなかったのですけども(笑)、勉強しようという名目で、オーストラリアに行っておりました。修士課程にいた時に、ワロコ・語という言語を調べまして、1971年から1974年まで鯛ぺました。博士の時にはジヤルという言語なのですが、これを1975年に調べ始めまして、1978年に仰±号の輸文を提出しましたが、現在でも調査を続けています。ですから、私のもともとの学問的背景は、なんて言うと大げさなのですけと、出発はオーストラリア原住民語なのですが、後に言語類型鏡ということにに興味を持ちました。要するに、色々な言語を比べてどういう共通点があるか、どういう点が違うか、ということを見ようという字間ですが、格の問題とか、述語のタイプの問題、他動性、あと逆受け身文と呼ばれるボイスの-表現とか、語順、所有などについて、論文を密いたりしました。私の学問的背景といいますか、ひとつはオーストラリア原住民路、ひとつは言語類型輪なのですけども、この「所有傾斜」もその研究の-項です。

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