2008 No.16
日本語学習者と母語話者における日本語複合動詞使用状況の比較 ─作文データベースを用いて─
陳 曦
要旨
本研究は学習者による作文と母語話者による作文の比較により、日本語学習者の書き言葉における複合動詞の使用状況を調査したものである。
本研究で明らかになったことは、第一に、学習者は全体として複合動詞の使用頻度は母語話者の3分の1程度で少ない傾向にある。国ごとに使用率に差はあるが、国別に使用傾向が見られなかった。また、「さしあげる」など、敬語表現としての複合動詞の誤用が多かった。第二に、後項動詞別上位15項目中10項目が共通しており、両者ともある程度共通する後項動詞を使用する傾向が見られる。