2008 No.16
若年層日本語母語話者のくだけた会話に現れた技巧の分析 ─日本語教育の立場から─
石川朋子
要旨
本稿は若年層日本語母語話者のくだけた会話に現れた技巧を分析し、その結果を日本語教育に役立てることを目指すものである。本稿で言う会話の技巧とは、母語話者が相手に与える印象を調整するために行う言語表現上の操作である。因(2005他)は、フィクションの作品中にそれらを数多く間作している。しかし、中級教科書ではそうした事象に殆ど触れられていない。そこで本稿では、親しい関係にある若年層日本語母語話者の大学生及び大学院生のくだけ会話を観察した。