2011 No.19
日本語を学ぶ子どもは自らの日本語学習をどう捉えて いるのか ─子ども自身の語りから探る日本語学習─

尾関史


要旨

 日本語を学ぶ子どもたちの増加に伴い,それぞれの子どもにとっての日本語を学ぶ意味が多様化している。しかし,子どもたち自身が自らの 日本語学習をどう捉えているのかを分析した研究は少ない。そこで本稿 では,子どもの語りに注目し,子どものライフストーリーを追う中で子 ども自身にとっての日本語学習の意味を明らかにすることを目的とし た。父親の仕事の都合で日本にやってきた一名の児童(V)を対象とし, V の語りから V が日本語の学習をどのように捉えているのかを考察した。 考察の結果,V にとって日本語を学ぶことは周囲の友人や学習内容との 間で関係を築いていくことと深く関わっていることが明らかになった。 そして,V にとっての日本語学習の過程とは,V が周囲の他者や学習内 容とさまざまなやりとりを繰り返す中で徐々に関係性が創られ,その関 係性の中で自分にとって意味が感じられることばの学びを育んでいく 過程であることがわかった。

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日本語を学ぶ子どもは自らの日本語学習をどう捉えて いるのか ─子ども自身の語りから探る日本語学習─ - 尾関史

How Do Children Think about Their Learning? - Exploring the Meanings of Learning from the Narratives of One JSL Child - OZEKI Fumi