2015 No.23
中国人日本語学習者の人を表す接尾辞の派生語習得に影響する要因
大和祐子・玉岡賀津雄・初相娟
要旨
中国人日本語学習者200名を対象に、日本語の人を表す接尾辞を付加した派生語の理解における影響要因を検討した。要因としては、(1)派生語が日中同形であるかどうか、(2)「人」「者」「員」「家」の4種類の接尾辞、(3)語基の難易度、(4)読解能力の4つの要因を設定した。以上の4つの要因で、派生語の正誤の回答を予測する決定木(その中の分類木)分析を行った。その結果、中国語に同形語があるかどうかが強く影響した。そして、同形語がある場合には、語基の難易が正誤の判断に影響を与えた。一方、中国語に同形語がない場合には、接尾辞の種類が影響した。日本語の読解能力は、同形語の無い「者」を付加した派生語の理解に影響するだけで、極めて限定的な要因であった。