2015 No.23
読解授業における再話 ―学習者ペア活動の相互行為分析―
小河原義郎・木谷直之・熊谷智子
要旨
再話は、「ストーリーを読んだ後に原稿を見ない状態でそのストーリーの内容を知らない人に語る」活動である。この再話を、学習者の理解を確認するだけでなく、読解の教室活動として活用するために、実際にペアで再話する際に何が起きているか、それが理解した内容の再構築とどのように関わっているかについて詳細に検討した。
再話活動における学習者ペアの相互行為を分析した結果、学習者は読んで理解したことを、相手が言ったことと照合したり、相手と協力したりして、再構築していた。これは学習者が一斉にテキストを読んで、内容把握を問う設問や教師の質問に答えるような教師主導の読解授業とは異なり、ペアで再話することによって学習者自身が主体となって、学習者同士で自分たちの理解を確認できることを示している。ペアによる再話は、教室活動としてさらに工夫することにより、読解授業における学習者の理解を深めることにつながる可能性がある。