2017 No.25
介護福祉士国家試験の筆記試験における文法・語彙項目の分析 ―日本語能力試験の観点から―
大場美和子
要旨
本研究の目的は、介護福祉士国家試験の筆記試験における文法・語彙項目を対象に、日本語能力試験の観点からレベル判定を行って特徴を明らかにし、外国人介護福祉士候補者の効率的な日本語学習のための基礎的なデータを提示することである。分析で は、 6回分の筆記試験(各 120 問)を対象に、文法項目は旧日本語能力試験の出題基準に従って各形式の総出現数を集計し、語彙項目(動詞・名詞)は形態素解析により品詞別に集計してレベル判定を行った。分析の結果、文法は限られた 2 級の項目が使用される点、語彙項目は級外に至るまでの専門語彙が多数出現する点が明らかとなった。また、カバー率と出現頻度数の集計より、その出現のありかたは試験による差が観察される点も明らかとなった。これまでは主に語彙の分析から専門語彙の難しさが指摘されていたが、本研究により、文法・語彙項目の両者の実態が旧日本語能力試験の観点から明らかになったといえる。