2018 No.26
JSLの子どもと特別支援学級に在籍するモノリンガルの子どもの和語動詞産出の比較
池田香菜子・西川朋美・青木由香
要旨
日本語を第二言語とする(以下、JSL)子どもを対象とした習得研究は、近年少しずつ増え始めている。本稿では、JSLと日本語モノリンガル(以下、Mono)の子どもの語彙力の比較研究を行った西川・青木・細野・樋口(2015)、西川・細野・青木(2016)の報告に、特別支援学級に在籍する日本語モノリンガル(以下、特Mono)の子どものデータを新たに加え、JSLと特Monoの和語動詞の産出における類似点・相違点の検証を試みる。分析の結果、全体的な成績において、JSLと特Monoは同様の傾向を見せたが、何を苦手とするかという点においては、異なる特徴が観察された。学校現場におけるJSLの子どもの日本語指導の体制や内容を考える上で、適切な言語能力の評価は必要不可欠であり、本研究で示されたようなJSL・特Monoの言語発達の違いが今後もさらに解明され、評価の指標の一つの手掛かりとなることが期待される。