2019 No.27
中国人日本語学習者による連語習得に関わる背景要因

黄叢叢・玉岡賀津雄・小森和子・毋育新


要旨

 本研究は、日中同形同義語(S語)を目的語とする和語動詞の動詞句(連語)の習得に、どのような要因が関わるかを検討したものである。対象語は和語動詞で、中国語にも同じ漢字が含まれているか否か(共有:「誤解を招く」・「招致?解」、非共有:「注目を集める」・「引起注目」)を基準に各14語(計28語)選定してテストを作成し、中国人日本語学習者82名に調査した。連語の正誤を、(1)漢字共有の有無、(2)日本語での連語の使用頻度、(3)日本語での和語動詞の使用頻度、(4)中国語でのS語の使用頻度、(5)日本語でのS語の使用頻度、(6)日本語習熟度、の6 変数で決定木分析を用いて予測した。その結果、(6)日本語習熟度が連語習得に対して最も強い要因となった。上位群は、(2)連語の使用頻度が影響したのに対して、中・下位群では、(1)漢字共有の有無が有意な予測変数となり、漢字共有の場合は(2)連語の使用頻度が影響した。

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中国人日本語学習者による連語習得に関わる背景要因 - 黄叢叢(明治大学大学院生)・玉岡賀津雄(名古屋大学)・ 小森和子(明治大学)・毋育新(西安外国語大学)

Factors Affecting the Acquisition of Collocations by Native Chinese Speakers Learning Japanese - HUANG, Congcong, TAMAOKA, Katsuo, KOMORI, Kazuko, WU, Yuxin