2021 No.29
SNSを用いた勧誘場面における 断りストラテジーとポライトネス効果 −日本語母語話者とマレー語母語話者の比較−
稗田奈津江(マレーシア国民大学)
要旨
本稿の目的は、勧誘の断りストラテジーとそのポライトネス効果を、日本語母語話者(以下JNS)とマレー語母語話者(以下MNS)の比較を通して明らかにすることである。本研究は、SNSを媒体としたロールプレイを用いて、談話データを収集した。そして、断りに焦点を当て、母語場面と接触場面のそれぞれにおいて、各意味公式の使用度数及び意味公式の一人平均使用度数をJNSとMNS 間で比較した。また、事後インタビューで得られた質的データを、DP 理論の枠組みに基づいて分析した。その結果、母語場面において、JNSはネガティブ・ポライトネスを志向し、主目的を効率的に達成しようとしているが、MNSはポジティブ・ポライトネスを志向し、より長く詳細なやりとりをしていることがわかった。接触場面においては、MNSは目標言語の規範を選択する傾向があり、それがポライトネスのプラス/ニュートラル効果を生じていることが明らかとなった。
SNSを用いた勧誘場面における 断りストラテジーとポライトネス効果 -日本語母語話者とマレー語母語話者の比較- - 稗田奈津江(マレーシア国民大学)