2021 No.29
韓国語母語学習者における「こう」「そう」の使用
猪股来未(麗澤大学大学院生)
要旨
本稿は、指示詞、感動詞としての使用が連続的な語彙形式「こう」「そう」について、『多言語母語の日本語学習者横断コーパス(I-JAS)』より、韓国語母語の学習者の使用を調査した。その結果、以下のことが明らかになった。(1)「こう」は眼前、形状、動作の説明で、「そう」は相手に対する肯定的な応答でそれぞれ使用し始め、レベルが上がるにつれて、使用の幅が広がっている。(2)「こう」「そう」ともに、使用場面と結びついた表現的使用から始まり、やがて談話機能を伴うものへと使用が広がるという共通性が見られた。このことから、学習者は習得が進むにつれ、その時々に「こう」「そう」を、文脈と結び付けて使用し、使用の幅を広げていく中で、結果的に「こう」「そう」それぞれの体系が形作られている可能性が示唆された。