2021 No.29
中国人日本語学習者の「意外な展開」の語りにおける接続表現 ―場面別の分析を中心に―

許 亜寧(名古屋大学大学院生)


要旨

本稿では、継起的に生起している4 種類の「意外な展開」において、日本語母語話者(以下、JNS)と中国人日本語学習者(以下、CJL)がどのような意外性を表す接続表現を使用しているか場面別に分析し、各場面における両者の特徴と、CJLの問題点について考察を行った。その結果、JNS は、1)「継起・接近」「継起・併存」の場合、〈逆接〉の「?んですけど」類を多用する、2)「継起・間隔」の場合、〈タラ系〉を多用する、3)「継起・中間」の場合、〈逆接〉の「?んですけど」類と〈タラ系〉を多用する傾向が見られた。一方、CJLはすべての場面で、〈逆接〉(特に「でも」)で場面の意外性を表現しているが、「?んですけど」類の使用は見られず、〈タラ系〉の使用も少ないことが分かった。また、場面の特徴と一致していない接続表現を使用する問題点も観察できた。ここから、学習者に対し、場面の特徴に合わせた接続表現の指導が必要であることが示唆された。

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中国人日本語学習者の「意外な展開」の語りにおける接続表現 ―場面別の分析を中心に― - 許 亜寧(名古屋大学大学院生)

Connective Expressions in Narratives of Unexpected Developments by Chinese Learners of Japanese: Focusing on the Analysis by Scene - XU, Yaning (Graduate School, Nagoya University)