2023 No.31
「謝罪表明」の出現位置と「謝罪表明への応答」に関する日タイの比較 ─ フェイスワークの観点から ─

ルンタンヤニティトーン チャナントーン


要 旨

本研究は謝罪場面での「謝罪表明」と、「謝罪表明への応答」の連鎖を明らかにするため、日タイ母語話者同士のロールプレイを用い、「謝罪表明」の出現位置に着目し、分析したものである。結果、日本語母語話者(JS)の謝罪する側はタイ語母語話者(TS)の謝罪する側より会話の主要部と終結部で「謝罪表明」を頻繫に行うことが分かった。また、「謝罪表明への応答」について、JSとTSの両者は終結部で「謝罪表明」を受諾することが共通していることが分かった。しかし、JSの謝罪される側は主要部で「謝罪表明」を受諾するだけでなく、問題解決に向けて情報要求、相槌で応答し、相手のフェイスを侵害、そのままにしておく様子も見られた。一方、TSの謝罪される側は主要部で非難や改善要求で応答し、相手のフェイスを重ねて侵害する傾向があった。よって、「謝罪表明」の出現位置は日タイの「謝罪表明への応答」に影響していることが明らかになった。

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「謝罪表明」の出現位置と「謝罪表明への応答」に関する日タイの比較 ─ フェイスワークの観点から ─ - ルンタンヤニティトーン チャナントーン

A Comparative Study of Apology Expressions’ Positions and Responses to Apology Expressions in Japanese and Thai: From Facework Perspective - RUNGTANYANITITORN, Chanantorn