日本語テストの選択枝数の変更が項目の正答率と識別力に与える影響


要 旨

昨今、増加しているオンラインテストでは多枝選択問題が主流で、4枝選択問題が多く採用されている。日本語テストの研究において、多枝選択問題の選択枝の数の変更が項目の正答率や識別力に与える影響について言及しているものは見当たらない。そこで、本研究では、選択枝の数を4枝から3枝にするという変更が項目の正答率と識別力にどのような影響を与えるかをA日本語学校のオンラインプレースメントテストを用いて検証し考察する。4枝から3枝にした結果、正答率はやや上がる傾向、また識別力はやや下がる傾向が見られた。しかし、4 枝選択と3枝選択の正答率や識別力の差の数値からみると、選択枝の数の変更が、正答率や識別力に大きい影響を与えるとは言い難い。さらに、選択枝の数と解答の正誤の間に関連性があるかカイ二乗検定を行った結果、10項目中8項目は、選択枝が4枝か3枝かということは正誤と関連性がないことがわかった。