1993 No.01
談話における分裂文の機能について

砂川有里子


1.はじめに

<談話例>

・・・前略・・・(小角は)もっと奥深い山で修行しようと、金峰山(吉野山)に目をつけた。ここに入って改めて修行をつづけた。
 荒行の果てにかれの前に現れたのは釈迦だった。「私でどうだ?」ときく釈迦に小角は首をふった。「あなたではいまの民衆は救えない」 つぎに現れたのは観音とミロクだった。小角はまた首をふった。「あなた方でもダメだ」。 最後に凄まじい雷鳴と岩鳴りの中から現れたのが、金剛蔵王菩薩大観音だ。 「おそろしい怒りの形相をしている。小角は(。)感動した。「あなたこそ求めていたホトケだ」。小角はすぐ脇の木を切って金剛蔵王を本尊としてきざんだ。これが大峰山の本尊だ。

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談話における分裂文の機能について - 砂川有里子

The Functionof Japanese Cleft Sentences in Discourse - SUNAKAWA, Yuriko