2024 No.32
日本語教科書における後項動詞「だす」の出現実態─ フレーム意味論に基づいて ─

靳夢瑩


要旨

本研究はフレーム意味論を用い、日本で広く使用されている日本語教科書から後項動詞「だす」の多義性について考察を行い、各レベルにおいて「だす」の用法及び前項動詞との結合傾向を明らかにすることを試みた。その結果、「だす」の用法によってLocative_relation フレーム、Creating フレームとProcess_start フレームが喚起されることが明らかになった。また、ものの移動を表すLocative_relationフレームは中級において出現率が 50%に達すること、知覚できる新たな状態が起こったことを表すCreatingフレームはどのレベルでも出現率が高いことが分かった。さらに、「だす」がLocative_relation フレームとCreating フレームを喚起する場合、共起する前項動詞によって喚起されたフレームに特定の傾向が見られる一方、Process_startフレームと共起する前項動詞には特定の傾向は見られないことが分かった。

続きを読む »

日本語教科書における後項動詞「だす」の出現実態 ─ フレーム意味論に基づいて ─ - 靳夢瑩

The Occurrence of “-dasu” as the Second Verb in Japanese Compound Verbs in Japanese Textbooks: A Study Based on Frame Semantics - JIN, Mengying