1995 No.04
非漢字系日本語学習者に対する漢字導入法の検討 ─眼球運動を通して─

松原幸子


1.はじめに

 母語の表記にアルファベットを用いる非漢字系日本語学習者、特に初級学習者にとって、漢字を見ること、つまり「構成要素に基づいて漢字の見方を組織化すること」(トリーニ1992)は難しい問題であるという。「非漢字系学習者にとって日本語教育の初期に学習する漢字は文字と言うより無意味な点と線の交わりにすぎない」(安藤他1975)との指摘もある。さらに、日本人の小学生と異なり、日本語学習者はその「必要性」によって学習の早い段階からかなり複雑な漢字を学習する(石田1984)。従って非漢字系日本語学習者の場合、早い時期から複雑な漢字の字形を認識する能力が要求される。

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非漢字系日本語学習者に対する漢字導入法の検討 一眼球運動を通して一 - 松原幸子

Studies of Kanji Introduction Methods for Non-Kanji Japanese Language Learners -Through Eye Movement- - MATSUBARA, Sachiko