2001 No.09
日英新聞記事における第1段落の機能 ─対照修辞論に関する一考察─

勝田順子


要旨

 言語や談話のジャンルの違いにより、レトリック形式に述いがあることが指摘されてきている。本稿においては、言語間におけるレトリック対照を、日英新聞(「朝日新聞」と“The Guardian”)のニュース記事をデータとし、特に、記事の「第1段落の機能」に注目して行った。「第1段落の機能」について、1)記事の主題はどこで初めて述べられるか、2)第1段落は「主題」及び「第2段落以降の内容」をどの程度含むか、3)第1段落の内容の詳細分析の3点から考察した。その結果、「朝日新聞」の第1段落は「記事の主題及び第2段落以降の内容」を多く含み、記事全体の総論を与えるという役割を持っているのに対し、“The Guardian”の第1段落は「記事の主題(又はその一部)」を提示するにとどまることが多く、よって、記事の主題を大きく押し出すという役割を持っていること、また、「朝日新聞」にはない、「物語的書き出し」や「比嶮を用いた抽象的表現」といった読者を引きつける方法も取られていることが明らかになった。

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日英新聞記事における第1段落の機能 ─対照修辞論に関する一考察─ - 勝田順子

Differences of Functions of the First Paragraphs between Japanese and British Newspaper Reports: from the Conrastive Rhetoric View - KATSUDA, Junko