2012 No.20
中国人・韓国人日本語学習者による聴覚・視覚呈示の言語間同形同義語・言語間異形同義の二次漢字語の処理
早川杏子・玉岡賀津雄
要旨
本研究では、母語にも漢字語彙が存在する漢字圏の中国人日本語学習者(以下、CNS学習者)および韓国人日本語学習者(以下、KNS学習者)を対象とし、視覚・聴覚の両様相間における語彙性判断課題を行った。日中の漢字語には、中国語と共通の書字と意味を持つ同形同義語と書字的な共有のない異形同義語がある。聴覚的に呈示された異形同義語は同形同義語よりも速く処理されるという専攻研究をもとに、同一条件で視覚・聴覚呈示の両様相間で同形同義語と異形同義語の処理を検討した。その結果、CNS学習者の場合、両呈示条件において言語間異形同義語は、日中言語間の同形同義語よりも速く、正確に処理されたが、KNS学習者の場合には両語の処理に違いは見られなかった。このことから、L1-L2言語間における書字・意味的共有性がL2日本語漢字語の視覚・聴覚的処理に対し、干渉的に影響を及ぼすことがわかった。
中国人・韓国人日本語学習者による聴覚・視覚呈示の言語間同形同義語・言語間異形同義の二次漢字語の処理 - 早川杏子、玉岡賀津雄